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都市部の住宅設計で注目される「陸屋根」は、屋上利用やすっきりとした外観を実現できる反面、納まりや防水に注意が必要な屋根形状です。
特に木造住宅においては、構造体の動きや湿気への配慮が必要なため、鉄筋コンクリート造とは異なる慎重な設計と施工が大切です。
本記事では、木造陸屋根の基本構成や防水工法ごとの納まり、起こりやすいトラブルとその対策について、建築実務の視点から詳しく解説します。

株式会社ライフ総建 取締役
佐藤 勇太
さとう ゆうた
塗装工事や屋根修理、防水工事をメインに東京都八王子市で外装リフォーム専門店を経営。地域に根付く専門店として3000棟以上の施工実績あり。
木造住宅に陸屋根を採用する際には、一般的な勾配屋根とは異なる独自の構造的な納まりが必要です。
特に構造用合板・断熱材・防水層の重ね方や、パラペットやドレンまわりといった細部の納まりは、雨仕舞いに直結する重要な要素です。
この章では、木造陸屋根の基本的な屋根構成からパラペット、ドレンの納まりまで、実務に即した視点でわかりやすく解説していきます。
木造の陸屋根は、構造用合板の上に防水層を設ける多層構成で成り立っています。
一般的には梁の上に構造用合板を敷き、その上に勾配を確保して防水層を施工します。
勾配は最低でも1/100程度が推奨されており、適切な排水性の確保が必要です。
外断熱を採用する場合は、防水層の下に断熱材を配置して内部結露を防ぐ工夫が必要です。
木造の場合、気密性や湿気対策の視点から、断熱材や下地の選定にも十分な配慮が大切です。
パラペット付きの場合は屋根の周囲に立ち上がりを設け、内部にドレンを設けて雨水を集中的に排水します。
パラペット部分には金属製の笠木を設けて雨仕舞いを強化しますが、立ち上がりと防水層の接合部は劣化しやすいため、十分な防水処理と適切な立ち上がり高さ(300mm以上)の確保が重要です。
陸屋根におけるドレン周りの納まりは、雨仕舞い上もっとも重要なポイントです。
ドレンは屋根面の最低部に設け、雨水を確実に排水する役割を果たします。
防水層との一体化が求められるため、ルーフドレンと防水材との接合部には専用のフランジ付き部材を用い、隙間のないようシール処理を行います。
さらに、落ち葉やゴミによる詰まりを防ぐため、ストレーナーの設置や、ドレンの清掃口の確保も重要です。
また、万一ドレンが詰まった場合に備え、オーバーフロー管を設置して雨水の逆流や室内浸水を防ぐ設計も欠かせません。
副ドレンを併設することも、安全性を高める有効な方法です。
陸屋根の性能を左右する最も重要なポイントが「防水」です。
特に木造住宅では、構造体が乾式で水に弱いため、防水層の選定や納まり次第で住宅の耐久性が大きく変わります。
この章では、ウレタン防水・FRP防水・シート防水の3種類を取り上げ、それぞれの特徴や適した施工方法、納まりの注意点について詳しく紹介します。
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を現場で塗布し、乾燥させて防水層を形成する工法です。
下地の形状に柔軟に対応できるため、複雑な納まりや立ち上がり部分にも施工しやすいのが特徴です。
木造陸屋根では、構造用合板の上にプライマーを塗布し、補強布を挿入しながら塗膜を形成します。
ただし、厚みが均一でないと防水性能が低下するため、施工技術に依存する面があります。
また、紫外線に弱く、トップコートの定期的な塗り替えが必要です。
シームレスな防水層が得られる一方で、下地の動きや収縮に伴うひび割れにも注意が必要です。
FRP防水(繊維強化プラスチック防水)は、ガラス繊維マットとポリエステル樹脂を重ねて硬化させる防水工法で、非常に高い耐久性と強度を持ちます。
硬化後は軽量で強靭な防水層となり、歩行可能な屋根やバルコニーにも適しています。
木造の陸屋根では、構造用合板の上にプライマーを塗布し、ガラスマットを敷き詰め、ローラーで樹脂を浸透・硬化させて仕上げます。
ただし、FRPは硬化後に動きにくく、構造体の微細な揺れや収縮に追従しづらいという特性があります。
下地の剛性や施工精度が問われるため、木造では慎重な計画が必要です。
シート防水は、塩ビやゴムなどの防水シートを屋根面に貼り合わせて施工する工法です。
あらかじめ工場で製造された材料を使うため、品質が安定しやすい点が大きなメリットです。
施工方法には、下地に密着させる「密着工法」と、通気層を設ける「通気緩衝工法」があり、木造住宅では湿気を逃がす通気緩衝工法が推奨されることが多いです。
シートの継ぎ目は溶着または接着により一体化させますが、端部や立ち上がり部分の処理が不十分だと漏水リスクが高まります。
また、シートが紫外線や風圧でめくれないよう、押さえ金物などの固定方法にも注意が必要です。
一見シンプルに見える陸屋根ですが、納まりを誤ると雨漏りや劣化の原因となるトラブルが多発します。
特に木造住宅では、構造の動きに追従できない納まりや、排水設計の甘さが後々の大きな損傷につながることもあります。
本章では、実際に起こりやすい不具合のパターンとその原因を整理し、事前に避けるための設計・施工上のポイントをわかりやすく解説します。
木造の陸屋根において雨仕舞いが特に甘くなりやすいのは、パラペットの立ち上がり部分やドレン周辺、シーリング処理された笠木の接合部です。
これらの箇所は部材の取り合いが複雑で、施工精度が少しでも低いと隙間が生じやすく、そこから雨水が侵入するリスクがあります。
特に木造では構造体が動きやすく、シーリング材のひび割れや防水層の切れが後々の雨漏りにつながることもあります。
雨仕舞いを確実にするには、立ち上がり部の高さを300mm以上とり、防水層を丁寧に立ち上げて納めることが基本です。
また、接合部には水返しや笠木金物の重ね代を十分に設けて、長期的な防水性を確保する必要があります。
陸屋根の雨漏りリスクを高める大きな要因が、勾配不足による雨水の滞留です。
設計上は1/100以上の勾配を確保するのが基本ですが、施工時の不陸や沈み込みによって局所的な水たまりが発生することがあります。
滞留した水は防水層に常時負荷をかけ、劣化を早めるだけでなく、ひび割れやピンホールからの雨水侵入を引き起こす原因にもなります。
とくにウレタンやFRPなどの塗膜系防水では、同じ場所に水が長時間留まると膨れや剥離のリスクも高まります。
このような問題を防ぐには、施工前の下地調整と勾配確認を徹底することが不可欠であり、仕上げ後にも排水試験を行うことが望まれます。
この記事のまとめ!
- 構造用合板・断熱材・防水層など多層構成で納まりが重要
- 防水工法にはウレタン・FRP・シートがある
- 雨仕舞いの弱点はパラペットやドレン周辺
- 勾配不足は排水不良・防水劣化を招く
木造住宅における陸屋根は、見た目のシンプルさとは裏腹に、構造・防水・排水の納まりに高い精度が求められます。
とくに防水層の選定や立ち上がり・ドレン周りの施工が重要で、少しのミスが雨漏りや劣化につながります。
設計段階から納まりを丁寧に検討し、信頼できる施工体制を整えることが大切です。
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