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近年、スタイリッシュな外観や軽量性から人気を集めている「ガルバリウム鋼板(通称:ガルバ)」。
その魅力に惹かれて、フラットな「陸屋根」にもガルバを使いたいと考える人が増えています。
しかし、実はこの組み合わせには重大なリスクが潜んでいることをご存じでしょうか?
ガルバは本来、傾斜のある屋根に最適化された素材であり、勾配のない陸屋根との相性は決して良いとはいえません。
誤った選定をすると、雨漏り・結露・住環境の悪化といったトラブルにつながり、結果的に後悔することも…。
本記事では、なぜ陸屋根にガルバが向かないのかを具体的な理由から解説し、代わりに選ぶべき防水工法についてもわかりやすくご紹介します。
これから新築やリフォームを検討している方は、ぜひ失敗しないための判断材料としてご活用ください。

株式会社ライフ総建 取締役
佐藤 勇太
さとう ゆうた
塗装工事や屋根修理、防水工事をメインに東京都八王子市で外装リフォーム専門店を経営。地域に根付く専門店として3000棟以上の施工実績あり。
ガルバリウム鋼板は、軽量で高耐久なうえ、モダンな見た目も魅力的な人気の屋根材です。
しかし、すべての屋根形状に適しているわけではありません。
特に「陸屋根」と呼ばれる勾配のないフラットな屋根では、ガルバの特性がデメリットに転じやすい点に注意が必要です。
この章では、まず陸屋根とガルバそれぞれの特徴を確認しながら、両者の相性を整理していきます。
陸屋根とは、勾配(傾斜)のない平らな形状の屋根を指します。
読み方は「りくやね」「ろくやね」が正解で、一般的には鉄筋コンクリート造のビルやマンション、店舗などで多く採用されています。
近年では、デザイン性を重視した一部の戸建住宅でも見かけるようになりました。
陸屋根は、屋根裏空間が不要であることから天井を高く取りやすく、シンプルな外観に仕上がるのがメリットです。
一方で、雨水を自然に流す傾斜がほとんどないため、防水性能が最も重要な屋根形状でもあります。
構造上、排水不良による雨漏りや結露のリスクが高く、屋根材選びや施工方法には細心の注意が必要とされます。
ガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛の合金メッキを施した鋼板で、正式には「55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板」と呼ばれます。
主に屋根材や外壁材として用いられ、その特徴は以下のとおりです。
- 非常に軽量で建物への負担が少ない
- 錆びにくく耐久性が高い
- 施工がしやすく加工性に優れる
- 直線的な意匠が現代的な建築デザインとマッチ
これらの点から、ガルバは勾配屋根(切妻屋根や片流れ屋根など)において非常に優秀な素材です。
しかし、勾配のない陸屋根ではその良さが十分に発揮されず、かえって多くの問題が発生することになります。
「デザイン性も高いし、ガルバを陸屋根に使ってみたい」そう思う方は少なくありませんが、その判断が思わぬトラブルを招く可能性があります。
実際に施工後に雨漏りや断熱性の低下で後悔するケースも。
ここでは、陸屋根にガルバが向かないとされる代表的な理由を3つ取り上げ、それぞれの問題点を具体的に解説します。
ガルバリウム鋼板の施工において最も重要なのが、十分な勾配(傾斜)を確保することです。
一般的に、金属屋根は2.5寸(約14°)以上の勾配が推奨されています。
これは、金属屋根が水を「流す」設計になっており、雨水が屋根上に滞留しないようにするためです。
一方、陸屋根は構造上ほぼ平らで、最低限の水勾配(1/100〜1/50程度)がある程度にすぎません。
そのため、ガルバを使っても雨水が滞留しやすく、屋根材の継ぎ目や釘穴から浸水が起きやすいという重大な欠点があります。
加えて、陸屋根は一般的に「防水層」によって水を遮断する設計です。
ガルバは“水を流す”構造に向いているため、この考え方と根本的に合わないのです。
ガルバリウム鋼板は金属であるがゆえに、外気温の影響を受けやすく、遮音性・断熱性ともに低いというデメリットがあります。
とくに陸屋根は屋根裏がなく、屋根の直下が室内空間となるため、熱や音の影響がダイレクトに伝わってしまいます。
- 夏は太陽熱で屋根が非常に高温になり室温の上昇を招く
- 雨が直接叩きつけることで室内に大きな音が響く
- 通気層や断熱層を設けにくいため調整が困難
こうした理由から、快適な住環境を求める住宅で「陸屋根+ガルバ」を組み合わせるのは避けたほうが賢明ということです。
陸屋根にガルバを使うと、設計ミスや施工不良、経年劣化時のトラブルが発見しにくく、発生した際の被害も深刻になりやすいというリスクがあります。
とくに注意したいのが「見えない漏水」です。
金属屋根の下に防水層を敷いていたとしても、釘穴や継ぎ目からじわじわと水が侵入し、防水層の劣化や構造体の腐食につながるケースがあります。
また、ガルバを施工するための下地に適切な通気層や断熱層が設けられていないと、結露によって内部から劣化が進行することもあります。
表面上は異常がなくても、数年後に大規模修繕が必要になる事例は少なくありません。
では、ガルバが使えないなら、陸屋根にはどのような屋根材・防水工法を選べばよいのでしょうか?
陸屋根は構造上「水を流す」のではなく、「水を止める」ことが最重要となるため、専用の防水層を採用するのが基本です。
この章では、実績豊富で信頼性の高い3つの防水工法(塗膜防水・シート防水・アスファルト防水)を紹介し、それぞれの特徴と選び方を詳しく解説します。
塗膜防水は、液状の防水材を屋根の表面に塗布して硬化させることで、防水層を形成する工法です。
ウレタン防水やFRP防水が主流で、複雑な形状の屋根にも柔軟に対応できる点が大きな特長です。
とくに戸建住宅の陸屋根では、下地との密着性に優れるFRP防水が多く用いられています。
施工後のつなぎ目がなく、見た目も美しく仕上がるのが魅力ですが、紫外線に弱いため定期的なトップコートの塗り替えが必要です。
比較的コストが抑えやすく、住宅向けとしてバランスの取れた防水工法といえるでしょう。
シート防水は、塩化ビニルや合成ゴムなどの防水シートを屋根の表面に接着・固定する工法で、均一な厚みと安定した性能を確保できる点が特徴です。
耐候性や耐久性に優れており、紫外線や熱に対する強さから、公共施設や商業建築にも多く採用されています。
屋根形状がシンプルな陸屋根には特に適しており、比較的スピーディーに施工できるのもメリットです。
ただし、立ち上がりや複雑な部分の仕上げには技術力が必要な方法です。
アスファルト防水は、溶かしたアスファルトをルーフィングシートと交互に積層し、強靭な防水層を形成する工法です。
もっとも歴史が古く、信頼性の高い防水工法であり、ビルや大型施設などで今も広く使われています。
厚みがあるため耐久性・耐水性に優れ、20年以上の耐用年数を誇る施工も可能です。
一方で、加熱作業により煙や臭いが発生するため、戸建住宅への採用にはやや不向きな側面もあります。
コストや作業環境に注意が必要ですが、重防水としての安心感は随一です。
この記事のまとめ!
- 陸屋根にガルバリウム鋼板を使うのは構造的に不適切
- 雨漏りや劣化リスクが高い
- ガルバは勾配のある屋根向けの素材
- 住環境を悪化させる恐れもある
- 専用の防水工法が最適
陸屋根にガルバリウム鋼板を使うのは、勾配不足や防水性の観点から非常にリスクが高く、雨漏りや室内環境の悪化につながる可能性があります。
見た目だけで選ぶのではなく、陸屋根には適した防水工法を採用し、機能性と耐久性を重視した設計を心がけましょう。
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