2025-2026冬版 大雪・凍結で増える「屋根・雨どい」トラブル予防チェック

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気象庁によると、この冬は日本海側を中心に雪の日が平年並み~多め、かつ一度に大量の雪が降ると予想されています。雪害による住宅トラブルは「雪が降った後」よりもむしろ「雪解けと凍結を繰り返す時期」に集中するため、年末大掃除のついでに屋根や雨どいの状態を把握しておくことが大事です。

この記事では、「自分でできる冬の点検」「緊急性の判断基準」を、住宅メンテナンスの専門ガイドラインに基づいて解説します。
(参考文献:国土交通省 国土技術政策総合研究所「木造住宅の劣化対策ガイドライン」)

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冬に屋根・雨どいトラブルが増える3つの理由

一般に冬に屋根や雨どいのトラブルが増えるには、3つの理由があるといわれています。

1. 積雪の重さによる負荷がかかる

日本海側の雪は湿って重く、1立方メートルあたり新雪で約150kg、圧雪になると約500kgにもなるといわれています。

この荷重が屋根材の固定部や雨どいの接合部に集中し、釘の緩み、金具の変形、継手の外れを引き起こします。特に築10年以上の住宅では、経年劣化が進んだ金属部分が雪の重みに耐えきれなくなって破損するケースが増えています。

2. 凍結による材料の膨張・収縮

雨どいや屋根の谷部に溜まった水が夜間に凍結すると、氷の体積が膨張することにより雨どいが割れたり、継手が押し広げられることがあります。

また、金属板葺き屋根では、凍結と融解の繰り返しが塗膜の劣化を加速させ、サビの進行を早めます。

3. 雪解け水の浸入リスク

雪解け水は通常の雨より多く、しかも長時間溜まります。

屋根材の隙間・外壁との境目部分・雨どいのオーバーフローから、本来入らないはずの場所に水が浸入し、野地板(屋根材を支えるための下地板)や外壁の下地が腐ったり、内装がシミになったりします。

まずはここだけ!目で見るセルフチェック10項目

自分で屋根に登っての点検は大変危険です。スマートフォンのズーム機能や双眼鏡を使って、地上からセルフチェックしましょう。チェックポイント1~4が雨どい編、5~8が屋根編、9~10が外壁・その他編です。

セルフチェック10項目

  1. 軒どいの傾き・たわみ 水平になっていたり、部分的に下がっていないか
  2. 継手のズレ・外れ 接続部分に隙間や段差がないか
  3. 縦どいの固定金具 外れかけていないか、錆びて変色していないか
  4. 雨どい内の詰まり 枯れ葉や氷の塊が見えないか
  5. 棟板金の浮き 屋根の頂上部分の金属カバーが浮いていないか
  6. 瓦のズレ・欠け 並びが乱れている箇所、割れた瓦がないか
  7. 軒先の変色・シミ 軒天(軒裏の天井)に茶色いシミや黒ずみがないか
  8. 雪止め金具の状態 曲がっている、外れているものがないか
  9. 外壁の雨だれ跡 雨どいの真下に黒い筋状の汚れが新たに出ていないか
  10. ベランダ排水口 ゴミや落ち葉、凍った水で塞がっていないか

チェックのタイミングは雪が降る前(11月中~12月)、大雪の後1週間以内、雪解けが始まる2月下旬がおすすめです。

雨どいの割れ・外れ・たわみが招くトラブル!

雨どいの不具合を「見た目の問題」と軽く見てはいけません。実際には以下のような深刻なトラブルにつながります。

外壁への影響

雨どいが機能しないと、屋根から落ちる雨水が外壁に直撃します。

そうなると、サイディングやモルタルの目地シーリングの劣化が加速する、外壁の内部に雨水が浸入する、通気層が湿って構造材が腐ってしまい、建物の耐久性が大幅に低下するなどのトラブルにつながってしまいます。

基礎・土台への影響

雨どいからあふれた水が基礎周りに集中すると、基礎と外壁の境目、基礎のひび割れ部分から水が浸入する、床下の湿度が上昇し、土台や床を支える柱(束柱)が腐る、シロアリが発生するなどのリスクが高まります。

緊急度の目安

今すぐ対応雨どいが完全に外れていて、下に通路がある

⚠️ 1ヶ月以内:たわみが目立つ、継手に隙間がある

経過観察:軽微な変色のみ

屋根(棟・板金・瓦)の「危ないサイン」はこれだ!

棟板金の浮き・釘の抜け

スレート屋根や金属屋根の頂上部分を覆う「棟板金」は、風や雪の影響を最も受けやすい部位です。

固定している釘が錆びてゆるむと、強風で板金が「バタバタ」音を立てるようになり、最悪、板金ごと飛んでいき、隣家に被害を与えたり、や通行人にけがをさせたりすることもあります。

屋根の頂上ラインが波打って見える、板金の継ぎ目に隙間があるなどの場合は要注意です。

屋根(棟・板金・瓦)の「危ないサイン」はこれだ!

瓦のズレ・固定不良

粘土瓦やセメント瓦では、雪の重みで棟際の半端瓦(切断した瓦)が固定不足で落下したり、屋根の谷部や隅部の「勝手瓦」(三角形に切った瓦)がズレたりするなどのトラブルが起きることがあります。

一般に瓦の固定にはステンレス製の釘や専用金物が使われますが、築30年以上の古い住宅では使われている鉄釘が錆びて機能しなくなっている場合がありますので要注意です。

軒天のシミ・結露

軒裏(軒天)の変色や黒ずみは、屋根裏への雨水浸入または結露のサインです。

放置すると、野地板や垂木が腐る、屋根裏の断熱材が湿気で劣化し、断熱性能が低下する、天井裏にカビが発生するなどのトラブルのもととなります。

緊急度の目安は?

今すぐ対応 板金が浮いている、瓦が大きくズレている

⚠️ 1ヶ月以内 軒天に新しいシミが出た

経過観察 外観上の劣化のみ(変色程度)

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ベランダやバルコニー排水の詰まりも冬に増える

ベランダの排水口(ドレーン)が詰まると、冬場は特に危険です。

  • 水が溜まったまま凍結→排水口周辺の防水層が損傷する
  • オーバーフロー管も凍結→行き場のない水が防水層の端から浸入する
  • 室内への漏水→バルコニー直下の部屋の天井にシミができる

冬の前にやるべきこと3つ

  1. 排水口のゴミ・落ち葉を除去
  2. 排水の流れを確認(バケツ1杯の水を流してみる)
  3. オーバーフロー管の開口部が塞がっていないかチェック

もし凍結で水が流れない場合、無理に割ったり熱湯をかけたりするのは禁物!自然に解けるのを待つか、ぬるま湯(40℃程度)で少しずつ溶かしましょう。

応急処置でやってはいけないこと

屋根に登る

雪や凍結で足場が不安定な冬の屋根は、プロでも危険です。転落事故が毎年発生していますから、絶対に屋根に上るのはやめましょう!

雨どいの氷を無理に割る

凍結した雨どいを叩くと、樹脂や金属が割れます。ドライヤーやぬるま湯で徐々に溶かすか、業者に依頼しましょう。

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雪かきで雨どいを破壊

雪かきの際に、スコップやスノーダンプで雨どいを引っ掛けて破損するケースが多く危険です。雨どい周辺は特に慎重に。

ブルーシートの不適切な設置

応急措置として屋根にシートを被せる場合、固定が甘いと風で飛んで二次災害を引き起こします。重石だけでは不十分で、専用のロープと固定具が必要です。

これが正しい応急措置

  • 雨どいが外れた箇所の真下に人が立ち入らないよう注意喚起
  • 室内への漏水箇所にバケツを置き、ブルーシートで家財を保護
  • デジタルカメラやスマホで被害箇所を記録(日付入り)
  • 速やかに専門業者に連絡
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点検〜修理する際に見積もりで見るべき項目

見積もりで確認すべき5項目

もしセルフチェックしてみて、自分の目ではうまく確認できなかった箇所や、すぐ修理しなければいけない危険箇所が見つかったら、かならず2~3社に相見積もりをとって修理を依頼しましょう。

その際、気を付けなければいけないのが以下の5つのポイントです。

  1. 被害箇所の特定方法 
    「ドローン・高所カメラで撮影」「屋根に登って確認」など、どう調査するか明記されているか
  2. 修理範囲の明確化
    「雨どい交換5m」だけでなく、「金具交換・シーリング処理含む」など詳細が書かれているか
  3. 使用材料の仕様
    「雨どい:塩ビ製 パナソニック製PC50型」など、メーカーと型番が明記されているか
    「下葺き材:改質アスファルトルーフィング」など、耐久性の高い材料か
  4. 保証内容
     「施工保証5年」「メーカー保証10年」など、具体的な年数と範囲が示されているか
  5. 追加費用の条件 
    「屋根下地が腐っていた場合、別途見積もり」など、追加が発生する条件が明記されているか

悪質業者を見分けるポイント

  • ❌ 「今すぐ契約しないと危険」と不安を煽る
  • ❌ 「火災保険で無料になる」と断言する(審査結果は保険会社が判断)
  • ❌ 見積もりが「一式◯◯万円」のみで内訳がない
  • ✅ 写真や図面で被害状況を説明してくれる
  • ✅ 複数の修理プランを提案してくれる

修理費用は火災保険でカバーできる可能性大

雪や強風による破損は、火災保険の「雪災」「風災」補償の対象となる可能性があります。もし修理費が20万円を超えるなら、保険申請を検討しましょう。

被害発生から3年以内なら請求可能ですから、まずはお手持ちの火災保険証券を確認し、保険会社に「雪害で屋根が破損した」と連絡してみましょう!

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まとめ

この記事のまとめ!

  • 雪が降る前から劣化していたが原因、雪が降る前に点検を
  • この記事の「セルフチェック10項目」を印刷し、家の周りを確認する
  • スマホで屋根・雨どいの状態を撮影(比較用に保存)
  • もし修理する箇所が出てきたら、屋根専門業者2〜3社に相見積もりを
  • 修理費用が20万円を超えそうなら、火災保険の保険金請求を

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