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屋根リフォームの選択肢の一つとして「屋根カバー工法」があります。
既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねることで、コストを抑えながら耐久性や美観を向上させる方法ですが、一部では「結露が発生しやすいのでは?」と懸念されることがあります。
実際に、屋根カバー工法で結露が発生するケースがあり、それが住宅に悪影響を及ぼす可能性もあります。
しかし、適切な施工を行えば結露リスクを抑えることも可能です。
本記事では、屋根カバー工法における結露の可能性やリスク、そして適切な対策について詳しく解説します。

株式会社ライフ総建 取締役
佐藤 勇太
さとう ゆうた
塗装工事や屋根修理、防水工事をメインに東京都八王子市で外装リフォーム専門店を経営。地域に根付く専門店として3000棟以上の施工実績あり。
屋根カバー工法は、既存の屋根を撤去せずに新しい屋根を重ねる工法で、コスト削減や工期短縮といったメリットがあります。
しかし、その一方で施工方法によっては「結露が発生しやすくなるのでは?」と不安を抱く方も少なくありません。
実際、屋根カバー工法では新旧の屋根の間に空間ができることで湿気がこもりやすくなり、条件によっては結露が発生する可能性があります。
本章では、なぜ屋根カバー工法で結露が起こるのか?その原因や影響について詳しく解説します。
屋根カバー工法における結露の発生メカニズムを理解するには、結露が起こる条件を知る必要があります。
結露は、以下の条件が揃ったときに発生します。
- 温度差が大きい環境
- 湿気が滞留しやすい構造
- 断熱・換気の不備
冬場など屋外と屋内の温度差が大きくなると、空気中の水分が冷たい屋根材に触れて水滴となり結露が発生します。
また、屋根カバー工法では、既存の屋根と新しい屋根の間に空間ができますが、この空間に湿気がたまると結露のリスクが高まります。
その他にも、断熱が不十分であると室内の暖かい空気が屋根裏に上昇しやすくなり、冷えた屋根材と接触して結露が発生します。
また、換気が不十分だと湿気が排出されず、結露がより発生しやすくなります。
屋根内部で結露が発生すると、以下のような問題が起こる可能性があります。
- 木材の腐食・劣化
- 断熱材の性能低下
- カビやダニの発生
- 雨漏りと誤認される可能性
屋根の下地材に湿気がたまると木材が腐食して強度が低下するため、これが進行すると最悪の場合は屋根全体の耐久性が損なわれることになります。
また、断熱材が水分を含むと本来の断熱効果が失われ、室内の温熱環境が悪化する恐れがあります。
湿気がこもることでカビやダニが発生しやすくなり、アレルギーや健康被害の原因にもなります。
また、実際には結露による水滴が原因なのに、雨漏りと勘違いされることがあります。
そのため、結露対策をしていないと、意味のない不要な修理を行うリスクもあります。
屋根カバー工法が向かない屋根材の一つとして「パミール」があります。
パミールはかつてニチハが販売していたスレート屋根ですが、耐久性の低さが問題となり、現在では廃盤となっています。
パミール屋根に屋根カバー工法を施すと、以下のリスクが高まります。
- 屋根材の剥離による構造的問題
- 結露の発生しやすさ
パミールは層状に剥がれる(ミルフィーユ状の剥離現象)という特性があり、上から新しい屋根材を被せても安定した下地になりません。
また、パミール自体が劣化しているため、水分を含みやすくなっており、新たな屋根材との間に湿気が溜まりやすくなります。
このため、パミール屋根の場合はカバー工法ではなく「葺き替え工事」を行うのが適していることがあります。
屋根カバー工法は、適切な施工を行えば結露の発生を抑えることができます。
結露を防ぐためには、屋根内部の湿気を適切に排出する換気対策や、断熱材・防水シートの選定が重要になります。
また、場合によっては、屋根カバー工法ではなく葺き替え工法を検討することで、より根本的な解決につながるケースもあります。
本章では、屋根カバー工法における結露対策の具体的な方法について詳しく解説しつつ、快適で長持ちする屋根リフォームのポイントを紹介します。
屋根カバー工法の結露対策として、換気棟の設置は非常に効果的です。
換気棟とは屋根の棟部分(頂上)に取り付ける換気装置のことで、屋根内部の熱気や湿気を外に逃がす役割を持っています。
特に屋根カバー工法では、新しい屋根を重ねることで内部の空間が密閉されやすくなり湿気が滞留しやすくなります。
換気棟を設置することで屋根内部の空気の流れを確保し、結露の発生を防ぐことができます。
施工時には、既存の屋根の形状や構造に適した換気棟を選ぶことが重要です。
屋根カバー工法の結露対策として、屋根裏の換気を適切に行うことが重要です。
屋根裏の換気が不十分だと、湿気が滞留して結露が発生しやすくなり、結果として屋根材や下地の劣化を早める原因となります。
これを防ぐために、軒先換気、妻換気の換気方法をバランスよく組み合わせることが有効です。
屋根裏換気(小屋裏換気)とは
屋根裏換気は、小屋裏の湿気や熱気を外に逃がすための換気方式です。
屋根裏に溜まった熱気や湿気が適切に排出されることで、結露を防ぎ、断熱性能を維持する効果があります。
一般的には、換気棟(棟換気)や妻換気と組み合わせることで効率的な空気の流れを確保します。
軒先換気(軒天換気口)
軒先換気とは、屋根の軒部分に設置する換気口のことで、外気を取り入れる役割を持っています。
通常、軒先換気口から新鮮な空気を取り込み、換気棟や妻換気から排出することで、屋根裏の空気が循環しやすくなります。
軒先換気が不十分だと空気が滞留し、湿気が屋根内部にこもる原因になります。
カバー工法を施工する際は、既存の軒先換気が機能しているかを確認し、不足している場合は追加設置を検討しましょう。
妻換気(妻壁換気口)
妻換気とは、屋根の両側にある妻壁(建物の側面上部)に設ける換気口のことです。
屋根裏にこもった湿気や熱気を効率よく外に排出する効果があり、換気棟や軒先換気と組み合わせることで、より効果的な換気が可能になります。
屋根の形状や構造によって換気棟が設置しにくい場合は、妻換気を活用することで屋根裏の湿気を排出できます。
屋根カバー工法は、既存の屋根を活かすことでコストを抑えるメリットがありますが、結露のリスクや既存屋根の劣化状況を考慮すると葺き替え工法の方が適している場合もあります。
例えば、屋根材が劣化している場合や通気層を確保しにくい構造では、カバー工法よりも屋根を全面的に葺き替えることで結露の心配を根本から解消できます。
また、新しい屋根材を選択することで断熱性能や耐久性の向上も期待できます。
長期的な視点で屋根リフォームを検討し、最適な工法を選ぶことが重要です。
この記事のまとめ!
- 適切な通気層の確保
- 換気棟の設置
- 住宅全体の換気の工夫
- 状況に応じた葺き替え工事の検討
屋根カバー工法はコストを抑えたリフォーム方法として有効ですが、施工方法を間違えると結露が発生し、建物に悪影響を及ぼす可能性があります。
結露を防ぎながら、快適で長持ちする屋根リフォームを行うために、施工業者と相談しながら慎重に計画を進めましょう。