瓦屋根の構造から読み解く土葺き工法の特徴を徹底解説!

瓦屋根の構造から読み解く土葺き工法の特徴を徹底解説!

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日本の伝統的な建築には、長い歴史の中で培われた独自の技術が数多く存在します。

その中でも「瓦屋根」は、日本の風土に適した屋根材として古くから採用されてきました。

特に瓦の下に土を敷く「土葺き工法」は、長い間主流だった施工方法の一つです。

しかし、近年では耐震性の向上や施工の効率化を目的として、「桟葺き工法」へと移行が進んでいます。

そのため、土葺きの瓦屋根は減少傾向にあるものの、今なお古い日本家屋では多くの土葺き屋根が残されており、その構造やメンテナンス方法を理解することも必要です。

本記事では、土葺き工法の特徴や現代工法との違い、瓦の下に敷く「葺き土」の役割、土葺き屋根のメンテナンス方法や補修のポイントについて詳しく解説します。

伝統的な瓦屋根の魅力を再認識しつつ、より長く美しく維持するための知識を深めていきましょう。

この記事の監修者

株式会社ライフ総建 取締役

佐藤 勇太

さとう ゆうた

プロフィール

塗装工事や屋根修理、防水工事をメインに東京都八王子市で外装リフォーム専門店を経営。地域に根付く専門店として3000棟以上の施工実績あり。

瓦屋根の構造比較!土葺きが現代工法と違う点

瓦屋根には、古くから使われてきた「土葺き工法」と、現在主流となっている「桟葺き工法」の2種類があります。

どちらの工法も瓦を固定する技術として発展してきましたが、それぞれの構造や特徴は大きく異なります。

土葺き工法は、瓦の下に葺き土を敷いて固定することで、瓦の安定性を高め、断熱・防音性能を向上させる伝統的な方法です。

一方、桟葺き工法は、瓦を桟木に引っ掛けて釘やビスで固定するため、施工が容易で耐震性に優れています。

本章では、土葺きと桟葺きの構造の違い、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

土葺き屋根とは

土葺き屋根(つちぶき/どぶきやね)とは、瓦の下に葺き土を敷いて瓦を固定する伝統的な工法です。

古くから日本の木造建築で採用されており、断熱性や防音性が高いことが特徴です。

土が瓦をしっかりと支えるため、風に強く、瓦が飛散しにくいという利点もあります。

しかし、屋根が重くなるため耐震性の課題があり、現在では「桟葺き工法」を採用するのが一般的です。

それでも土葺き工法は文化財や伝統的な家屋では今なお使用されており、適切な管理が必要といえるでしょう。

瓦の下に敷く土『葺き土』の特徴と読み方

葺き土(ふきつち)とは、土葺き工法で瓦を固定するために使われる粘土質の土のことです。

地域によって異なる土が使用されますが、一般的には粘り気があり、水はけのよい赤土が選ばれます。

葺き土の主な役割は、瓦の固定、断熱性の向上、防音効果の強化です。

特に土が厚く敷かれることで、夏は涼しく、冬は暖かいというメリットがあります。

ただし、葺き土は時間とともに劣化し流出することもあるため、定期的な点検と補修が重要になります。

葺き土の作り方について

葺き土は、施工現場で職人が調合し、適切な粘度に調整した上で使用されます。

基本的な作り方は以下のとおりです。

  • 赤土を選ぶ(水持ちが良く、適度な粘りがあるもの)
  • 砂や藁すさ、粘土を混ぜる(強度を増し、防水性を向上させるため)
  • 適度な水分を加えてよく練る(硬すぎず、柔らかすぎない状態にする)

このように作られた葺き土は、屋根の形状や瓦の種類に合わせて職人の手作業で敷かれます。

瓦屋根における土葺きの見分け方

土葺き工法が採用されているかどうかは、以下のポイントで判断できます。

  • 軒先(屋根の端)を確認する → 土が露出している場合は土葺きの可能性が高い
  • 瓦の固定方法を見る → 釘やビスが使われていない場合は土葺きの可能性がある
  • 屋根裏から確認する → 屋根裏に土が落ちている場合は土葺き工法の特徴
  • 築年数から確認する → 築50年を超える物件は土葺き工法の可能性がある

上記の見分けるポイントを押さえておくことで、適切なメンテナンスや修理を行うことができます。

瓦屋根の構造から読み解く土葺きのポイント

土葺き工法は、日本の伝統的な瓦屋根の施工方法として長く採用されてきました。

しかし、その特性を正しく理解していないと、メンテナンス不足による雨漏りや耐震性の低下といったトラブルを引き起こすこともあります。

特に葺き土の劣化による雨漏り、瓦のズレによる耐久性の低下、修理方法の選択が重要なポイントになります。

また、近年では土葺き工法の補修に「南蛮漆喰」が活用されるなど、新しい技術の導入も進んでいます。

本章では、土葺きの構造が雨漏りや補修にどのような影響を与えるのか、補修の際に知っておきたいポイント、土葺き屋根の維持管理方法について解説します。

適切なメンテナンスを行うことで、長く美しい瓦屋根を維持するためのヒントを探っていきましょう。

土葺きの瓦屋根が雨漏りしやすい理由

土葺きの瓦屋根は、瓦の固定に使われる葺き土が長年の風雨や地震の影響で流出したり、乾燥してひび割れたりすることで、雨水が屋根内部に侵入しやすくなります。

特に葺き土が減少すると瓦の安定性が低下し、隙間が生じて雨漏りの原因となります。

また、葺き土は湿度の影響を受けやすく、乾燥と吸湿を繰り返すことで劣化が進みます。

さらに瓦自体がズレたり割れたりすることで、雨水が直接葺き土に浸透し、屋根裏へと漏れやすくなるのも雨漏りの一因です。

そのため、土葺きの瓦屋根を維持するには定期的な点検と補修が欠かせません。

葺き土の補修方法について

土葺きの瓦屋根を補修する際は、まず劣化や流出した葺き土の状態を確認し、必要な箇所に新しい葺き土を補充することが重要です。

補修では、適度な粘り気のある土を用意し、屋根の形状に合わせて均等にならしながら敷いていきます。

その後、ズレている瓦を正しい位置に戻し、瓦の隙間ができないように調整します。

補修作業は慎重に行う必要があり、不適切な補修をすると逆に雨漏りを悪化させる可能性があるため、経験がない場合は専門業者に依頼するのが安心です。

土葺きの瓦屋根修理はDIYできる?

土葺きの瓦屋根の修理は専門的な技術を必要とするため、DIYでの対応は難しいとされています。

瓦の配置や葺き土の調整は熟練した職人の経験が求められる上に、誤った施工をすると雨漏りを悪化させるリスクがあります。

また、高所作業になるため、滑りやすい瓦の上での作業は転落事故の危険性も伴います。

小規模な補修や漆喰の塗り直し程度であればDIYで対応可能な場合もありますが、大掛かりな修理は専門業者に依頼するのが安全で確実です。

葺き土の代わりは『南蛮漆喰』

近年では、土葺き屋根の補修や補強に「南蛮漆喰」が用いられることが増えています。

南蛮漆喰は、通常の漆喰に粘性や防水性を高める成分を加えたもので、従来の葺き土よりも耐久性が高く、雨水による劣化を抑える効果があります。

また、瓦の固定力も向上してズレを防ぐことができるため、雨漏り対策としても有効です。

施工時の扱いやすさも特徴で、補修作業の負担を軽減できる点も評価されています。

土葺きの風合いを残しながら耐久性を向上させたい場合には、南蛮漆喰を活用することで、よりメンテナンスの手間を減らすことが可能です。

まとめ

この記事のまとめ!

  • 土葺き屋根は瓦の下に葺き土を敷いて固定する伝統的な工法
  • 補修方法としては、葺き土の補充や瓦の再配置、防水性を高めるための漆喰施工が有効
  • 大規模な修理は業者に依頼するのが安全
  • 南蛮漆喰は耐久性・防水性に優れた葺き土の代替材料として活用されている

土葺き工法は、伝統的な瓦屋根の構造として長く使われてきましたが、その特徴を理解することで適切なメンテナンスや補修が可能になります。

古い瓦屋根を維持したい場合は、専門家のアドバイスを受けながら最適なメンテナンスを行いましょう。