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日本の建築文化を象徴するものの一つに、瓦屋根があります。
寺院や城郭、古民家など、歴史的な建築物を思い浮かべると、多くの場合は瓦が美しく並んだ屋根が印象に残るのではないでしょうか。
現在では「瓦屋根」と呼ばれますが、古くは「甍(いらか)」という言葉が使われていました。
この「甍」という言葉は、単に瓦屋根を指すだけでなく、日本の伝統的な美意識や建築文化と深い関わりを持っています。
また、「甍の波」という表現は詩歌や童謡にも登場し、日本の風景を象徴する言葉として親しまれてきました。
本記事では、瓦屋根の古い言い方である「甍」とは何か、その由来や歴史、そして今も私たちの文化に息づく表現としての「甍の波」について詳しく解説していきます。
昔の言葉を知ることで、日本の建築や文化への理解がより深まるはずです。

株式会社ライフ総建 取締役
佐藤 勇太
さとう ゆうた
塗装工事や屋根修理、防水工事をメインに東京都八王子市で外装リフォーム専門店を経営。地域に根付く専門店として3000棟以上の施工実績あり。
現在では「瓦屋根」という言葉が一般的に使われていますが、かつては「甍(いらか)」という呼び方がありました。
この言葉はただ屋根を指すだけでなく、日本の建築文化や歴史、さらには詩歌の中にも登場し、美しい景観を表現する言葉として用いられてきました。
では、「甍」とは具体的にどのような意味を持つのか? また、「甍の波」という表現にはどのような背景があるのか? ここでは、そんな瓦屋根の古い言い方の意味や由来について詳しく解説します。
「甍(いらか)」とは、瓦で葺かれた屋根のことを指す言葉です。
この言葉は古くから日本の建築文化に根付いており、神社仏閣や城郭などの壮麗な建築物にも使われる瓦屋根を表す際に用いられてきました。
「甍」という漢字は中国由来の表記ですが、日本においては屋根全体を指す言葉として定着しました。
とりわけ、屋根が波打つような壮観な風景を表現する際に「甍」という言葉がよく使われます。
甍の歴史的な背景
日本における瓦屋根の歴史は、飛鳥時代まで遡ります。
仏教伝来とともに中国や朝鮮半島から瓦葺きの技術が伝えられ、主に寺院建築で使用されるようになりました。
平安時代には、貴族の屋敷や宮殿の屋根にも瓦葺きが用いられるようになり、「甍」は格式高い建築の象徴として認識されるようになりました。
江戸時代以降、瓦屋根は庶民の住宅にも広がり、現在の日本建築の特徴の一つとして確立されました。
「甍の波(いらかの波)」という表現は、日本の伝統的な詩や文学、さらには日常の言葉の中で用いられてきました。
この言葉は、瓦屋根が連なり、波のように見える様子を比喩的に表現したものです。
特に寺院や城郭などの壮麗な建築では、屋根が美しく連なる景観が特徴的です。
この景色を「甍の波」と表現し、時には「雲の波」とともに並べて詠まれることもあります。
「甍」という言葉は、現代の会話の中ではあまり耳にすることがなくなりました。
しかし、日本の伝統建築や文学作品、さらには童謡の歌詞の中には今でもその名残を見ることができます。
特に屋根の各部位には昔ながらの名称が多く残っており、建築の専門用語としても使用されています。
また、童謡「こいのぼり」にも「甍の波」という表現が登場し、日本の美しい風景を象徴する言葉として親しまれています。
ここでは、「甍」という言葉がどのような場面で使われているのかを詳しく見ていきましょう。
瓦屋根には、部位によって以下のような名称があります。
- 大棟部(おおむねぶ)
- 軒先部(のきさきぶ)
- 隅棟部(すみむねぶ)
- 谷部(たにぶ)
- 壁際部(かべぎわぶ)
これらの名称は、屋根工事の現場や伝統建築の修復作業などで今も使用されています。
このうち、甍は大棟部における屋根の頂上部分(棟瓦)を指していることもあります。
日本の伝統文化を象徴する「甍」という言葉は、童謡の歌詞にも登場します。
代表的な例が、「こいのぼり」の歌詞です。
甍(いらか)の波と雲の波、
重なる波の中空(なかぞら)を、
橘(たちばな)かおる朝風に、
高く泳ぐや、鯉のぼり。
この歌詞では「甍の波」と「雲の波」が対比され、まるで空に浮かぶ橋のようにこいのぼりが泳いでいる様子が表現されています。
この記事のまとめ!
- 「甍」は瓦葺き屋根を指す伝統的な言葉
- 「甍の波」という表現は屋根の美しい連なりを比喩的に表す言葉
- 童謡「こいのぼり」にも「甍の波」が登場し、日本の風景や文化と密接に関係している。
現代ではあまり使われなくなった言葉かもしれませんが、「甍」は日本の建築や文化を知る上で欠かせない言葉といえます。
日本の屋根文化や伝統建築に改めて目を向けてみるのもよいかもしれません。