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日本の伝統的な建築に欠かせない瓦屋根。
古くから神社仏閣や住宅に広く用いられ、その美しさや耐久性から多くの人々に親しまれてきました。
しかし、「瓦屋根の各部位の名称や構造について詳しく知らない」という方も多いのではないでしょうか?
瓦屋根には「棟」「軒先」「谷」など、それぞれの役割を持つ部位があり、正しく理解することでメンテナンスや修理の際に役立ちます。
また、近年では軽量化や耐震性を向上させた瓦も登場し、現代建築においても再評価されています。
本記事では、瓦屋根の構造と各部位の名称を詳しく解説し、それぞれの役割や特徴をわかりやすくご紹介します。
瓦屋根の基本を学ぶことで、家の屋根に対する理解が深まり、より長く美しい状態を保つための知識を身につけることができますので、ぜひ最後までご覧ください!

株式会社ライフ総建 取締役
佐藤 勇太
さとう ゆうた
塗装工事や屋根修理、防水工事をメインに東京都八王子市で外装リフォーム専門店を経営。地域に根付く専門店として3000棟以上の施工実績あり。
瓦屋根は、日本の伝統建築に欠かせない屋根材のひとつです。
その歴史は古く、耐久性や美観、防火性などの優れた特性から、現代の住宅にも幅広く採用されています。
しかし、一口に「瓦屋根」といっても、実際にはさまざまな種類があり、それぞれの部位には異なる役割があります。
この章では、瓦屋根の基本的な特徴や歴史、種類について詳しく解説し、現代建築における瓦屋根の位置づけについても紹介していきます。
瓦屋根の魅力を知ることで、その価値を再認識していきましょう。
瓦屋根は、耐久性・防火性・断熱性・遮音性に優れた屋根材です。
粘土を焼き固めた瓦は、適切な施工をすれば50年以上の耐用年数を誇り、風雨や紫外線に強く経年劣化が少ないのが特徴です。
また、不燃材であるため火災時の延焼を防ぐ効果も期待できます。
さらに、瓦の厚みが断熱材の役割を果たし、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を維持しやすい点も魅力です。
加えて、雨音を吸収し静かな室内環境を実現する遮音性も備えています。
伝統的な日本建築の美観を引き立てるデザイン性の高さも、瓦屋根の大きな魅力の一つです。
瓦屋根は、時代によってさまざまな呼び方をされてきました。
代表的なものに「甍(いらか)」があります。
これは童謡鯉のぼりにも登場する言葉で、「甍の波」という表現は瓦屋根が連なる美しい景観を指します。
このように、瓦屋根には歴史とともに受け継がれてきた独自の呼称があるのです。
瓦は日本の気候風土に適した屋根材として、長い歴史を持ちます。
湿気が多く、台風や地震が頻発する日本において、耐久性や防火性に優れた瓦は屋根材として理想的な選択肢でした。
また、神社仏閣や城郭、武家屋敷などでは格式の高さを示す象徴としても使われ、建築文化の発展に大きく寄与しました。
さらに瓦屋根は地域ごとに異なる特徴を持ち、例えば関西では「いぶし瓦」が多く使われ、関東では「素焼き瓦」が一般的です。
このように日本の建築文化の中で、瓦は実用性と美観を兼ね備えた重要な屋根材としての役割を果たしてきました。
瓦にはさまざまな種類があり、大きく分けると「和瓦」と「洋瓦」の2つのカテゴリーに分類されます。
和瓦は日本の伝統的な屋根に使用される瓦で、曲線の美しさと耐久性が特徴です。
一方、洋瓦は西洋建築にも適応したデザインで、直線的な形状のものや曲線を持つものがあります。
ここでは、代表的な瓦の種類であるJ形瓦、いぶし瓦、F形瓦、M形瓦、S形瓦について詳しく解説します。
J形瓦
J形瓦は、日本の伝統的な「和瓦」の形状を継承した瓦で、波を描くような曲線が特徴です。
「J形」という名称は、Japaneseを示しており、日本の気候や建築様式に適したデザインとなっています。
いぶし瓦
いぶし瓦は、J形瓦の一種であり、独特の銀色の光沢を持つ瓦です。
製造過程で燻化(くんか)処理を施すことで、瓦の表面に炭素膜が形成され、渋みのある美しい仕上がりになります。
F形瓦
F形瓦は、その名の通りフラットな形状を持つ瓦です。
J形瓦のような曲線ではなく、シンプルで直線的なデザインが特徴で、現代建築においても人気の高い瓦の一種です。
M形瓦
M形瓦は、S形瓦と似た波状の形状を持っていますが、M形瓦は2つの波が連続しているのが特徴です。
この形状により屋根に立体感が生まれ、南欧風の建築デザインに最適で屋根全体に動きのある表情を与える点も魅力の一つです。
S形瓦
S形瓦は、波状のデザインが特徴の洋瓦でスペイン瓦とも呼ばれます。
日本国内でも洋風住宅や南欧風のデザインに多く採用されており、エレガントで温かみのある外観を演出します。
近年の日本の住宅市場では、瓦屋根の採用率が減少傾向にあります。
その背景には、コスト面、耐震性、施工性の観点から、スレート屋根や金属屋根(ガルバリウム鋼板など)の需要が高まっていることが挙げられます。
この傾向を具体的に示すデータとして、住宅金融支援機構の「フラット35 住宅仕様実態調査(2023年度)」を活用しながら、現代における瓦屋根の採用状況について詳しく解説します。
フラット35のデータから見る屋根材の動向
住宅金融支援機構が公表している「フラット35 住宅仕様実態調査(2023年度)」によると、新築住宅における屋根材の採用率は以下のようになっています。
- 金属系屋根材(ガルバリウム鋼板など):約55%
- スレート系屋根材(化粧スレートなど):約25%
- 瓦屋根(陶器瓦・セメント瓦):約10%
- その他(アスファルトシングルなど):約10%
このデータから分かるように、現在の主流は金属系屋根材であり、瓦屋根の採用率は約10%にとどまっています。
特にローコスト住宅や都市部の住宅では、施工性の高さや軽量性を理由にスレートや金属屋根が好まれている傾向にあります。
瓦屋根は、単に瓦を並べているだけではなく、さまざまな部位が組み合わさって一つの屋根を構成しています。
それぞれの部位には、雨風を防ぐ、強度を保つ、美観を整えるといった役割があり、適切な施工やメンテナンスが求められます。
この章では、瓦屋根の構造を詳しく解説し、各部位の名称とその役割をわかりやすく紹介します。
屋根の基本を知ることで、修理やリフォームの際に専門業者とスムーズにコミュニケーションが取れるようになり、自宅の屋根の状態をより正確に把握できるようになりましょう。
瓦屋根は、いくつかの主要な構造によって成り立っています。
まず、屋根の土台となるのが野地板(のじいた)で、その上に防水シートであるルーフィングを敷き、瓦を固定するための桟木(さんぎ)を設置します。
その上に瓦を並べ、風雨を防ぐ役割を持たせます。
また、屋根の形状や接合部ごとに異なる種類の瓦を使用し、防水性や耐久性を高めています。
瓦屋根は単なる装飾ではなく、耐候性や排水機能を考慮して設計されており、それぞれの部位が重要な役割を担っています。
大棟部は、屋根の最も高い中央部分にあたり、建物の左右の屋根面が合わさる箇所です。
ここには「棟瓦(むねがわら)」が設置され、雨水の侵入を防ぎながら屋根全体の強度を高める役割を担います。
また、施工方法として漆喰を用いた「土葺き(つちぶき)」などがありますが、大棟部は屋根全体の安定性に影響を与える重要な部分で定期的な点検が必要です。
軒先部は、屋根の先端部分で建物の外壁から突き出た部分にあたります。
雨水をスムーズに排水するための「軒瓦(のきがわら)」が取り付けられ、屋根の端を美しく見せる役割も果たします。
また、軒先には「鼻隠し(はなかくし)」や「破風板(はふいた)」が設置され、雨風の侵入を防ぎつつ、屋根の強度を高めます。
軒先部は雨水が最も集まりやすい部分のため、適切な勾配と排水機能を持たせることが、屋根全体の耐久性を向上させる上で重要です。
隅棟部は、屋根の四隅に位置する部分で、寄棟屋根や入母屋屋根に見られます。
大棟から軒先に向かって斜めに伸びる棟であり、「隅棟瓦(すみむねがわら)」を用いて仕上げます。
隅棟部の役割は屋根全体のバランスを保ち、風雨の影響を受けやすい屋根の角を補強することです。
特に台風や強風の際には負担がかかりやすいため、施工には強度を高めるための隅瓦が使用されることが多く、定期的な点検と補修が必要です。
谷部は、屋根面が交差し内側にくぼんだ部分を指します。
ここは雨水が集中しやすく、排水機能が特に重要なエリアとなるため、「谷樋(たにどい)」や「谷板金(たにばんきん)」を用いて防水処理を行います。
谷部の施工が適切でないと、雨漏りの原因となることが多く、耐久性の高い材料の使用や定期的な点検・清掃が求められます。
特に落ち葉やゴミが詰まりやすいため、排水機能を維持するためにこまめなメンテナンスが必要です。
壁際部は、屋根と建物の壁が接する部分であり、雨水が侵入しやすいポイントです。
この部分には「雨押え板金(あまおさえばんきん)」が取り付けられ、防水処理が施されます。
特に2階建ての屋根と1階部分の屋根が接続する「下屋(げや)」の壁際部分は雨漏りのリスクが高いため、施工時の防水対策が重要になります。
壁際部は、建物の寿命にも大きく関わるため、漆喰やシーリング材の劣化状況を定期的にチェックし、必要に応じて補修することが大切です。
この記事のまとめ!
- 瓦屋根は耐久性・防火性・断熱性に優れている
- 伝統的な建築に多く用いられ、歴史的価値が高い
- 「棟」「軒先」「谷」「隅棟」など各部位の名称を理解しておくと、メンテナンス時に役立つ
- 近年では軽量瓦やメンテナンスのしやすい瓦も登場し、選択肢が増えている
瓦屋根は、日本の気候や建築文化に根付いた屋根材で、その耐久性や美しさから現代においても根強い人気があります。
瓦屋根を長持ちさせるためには、定期的な点検と適切なメンテナンスが重要です。
本記事を参考に、瓦屋根の知識を深めて快適な住まいを維持していきましょう!