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中古物件を購入し、新生活をスタートさせた直後に「雨漏りが発覚した…」というケースは珍しくありません。
天井や壁にシミができていたり、大雨の日に水滴が垂れてくるような状況に直面すると、買主としては「このまま住み続けられるのか?」「修理費用は誰が負担するのか?」と不安になるでしょう。
こうしたトラブルの際に知っておくべきなのが「契約不適合責任」です。
2020年の民法改正により、それまでの「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」として変更され、買主は売主に対して修繕請求や損害賠償請求などの対応を求めることができる場合があります。
しかし、すべてのケースで責任が認められるわけではなく、契約内容や雨漏りの状況によって適用の可否が決まるため、正しい知識が必要です。
本記事では、契約不適合責任の基礎知識をはじめ、雨漏りが発覚した際の適用条件や買主が行使できる権利、さらにはトラブルを回避するためのポイントについて詳しく解説します。
中古物件を購入した後に雨漏りトラブルに直面した方や、これから購入を検討している方にとって、役立つ情報をお届けします。

株式会社ライフ総建 取締役
佐藤 勇太
さとう ゆうた
塗装工事や屋根修理、防水工事をメインに東京都八王子市で外装リフォーム専門店を経営。地域に根付く専門店として3000棟以上の施工実績あり。
中古物件を購入した後に雨漏りが発覚した場合、売主に修繕を求めることができるのかどうかは、契約不適合責任の適用条件によります。
2020年の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」へと変更され、売買契約の内容と異なる不具合がある場合に、買主が修補請求や損害賠償請求などの権利を行使できるようになりました。
しかし、すべての雨漏りが契約不適合責任の対象となるわけではなく、契約の内容や売主の説明義務などが関係してきます。
この章では、契約不適合責任の基本的な考え方や適用条件について詳しく解説します。
契約不適合責任とは、2020年の民法改正で瑕疵担保責任に代わって導入された制度です。
これは、売買契約において引き渡された物件が契約内容と異なる場合に、買主が売主に対して責任を追及できる仕組みです。
具体的には、雨漏りなどの欠陥が事前に説明されていなかった場合、買主は修繕請求や損害賠償請求などを行うことができます。
契約不適合責任が認められる場合、買主は以下の4つの権利を行使できます。
①追完請求
追完請求とは、買主が売主に対して契約内容に適合するように修繕を求める請求権です。
例えば、雨漏りが発覚した場合、売主に修理を依頼し費用を負担させることができます。
ただし、売主が修繕に応じない場合や、修繕が困難な場合には、代金減額請求や契約解除など、他の権利を行使することも可能です。
追完請求は、買主にとって最初に取るべき対応として重要な手段です。
②代金減額請求
代金減額請求とは、物件の不適合部分(雨漏りなど)の修繕が困難な場合に、その補修費用相当分の代金を減額するよう売主に請求する権利です。
例えば、雨漏りの修繕に100万円かかる場合、その分を物件価格から差し引いてもらうことが可能です。
売主が修理に応じない場合や、契約内容と著しく異なる状態が発覚した場合に有効な手段となります。
③契約解除
契約解除は物件の不適合が重大であり、通常の使用が難しい場合に認められる権利です。
例えば、大規模な雨漏りによって住めない状態である場合、買主は契約を解除し支払った代金の返還を求めることができます。
ただし、軽微な不具合では契約解除が認められない可能性があるため、解除を主張する際には専門家の意見を取り入れ、慎重に判断することが重要です。
④損害賠償請求
損害賠償請求とは、契約不適合によって買主が被った損害を売主に対して請求できる権利です。
例えば、雨漏りの修繕費用、仮住まいの家賃、家具や家電の損害などを賠償請求できます。
ただし、売主が善意(事前に雨漏りを知らなかった)であった場合、請求の範囲が制限されることがあります。
損害の証拠をしっかり残し、正当な賠償を求めることが重要です。
契約不適合責任を追及できる期間には制限があります。
民法では、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しなければならないと定められています。
通知しないと、契約不適合責任を問う権利を失う可能性があるため早めの対応が必要です。
また、不法行為に基づく損害賠償請求の場合は、契約成立から10年以内が請求可能な期間となります。
中古物件の雨漏りに対して契約不適合責任を適用するためには、一定の条件を満たしている必要があります。
契約内容と現状が異なっていることや、売主が事前に雨漏りのリスクを説明していなかったことなどが重要なポイントとなります。
反対に、契約書に「現状有姿(げんじょうゆうし)」や「契約不適合責任を負わない」などの特約がある場合、売主に責任を追及できないケースもあります。
この章では、契約不適合責任が適用される条件と適用されないケースを詳しく解説し、どのような状況なら責任を問うことができるのかを明確にしていきます。
契約不適合責任が適用されるためには、以下のような条件を満たしている必要があります。
- 契約内容と異なる状態で物件が引き渡された場合(例:売主が「雨漏りなし」と説明していたのに実際には雨漏りがあった)
- 通常の使用に適さない重大な不具合であること(例:生活に支障をきたすレベルの雨漏り)
- 売主が雨漏りの存在を事前に説明していなかった
- 買主が雨漏りを発見後、1年以内に売主へ通知した
これらの条件を満たせば、売主に対して修繕請求や損害賠償請求ができる可能性があります。
以下のケースでは、契約不適合責任を追及するのが難しくなります。
- 売主が雨漏りの存在を事前に告知していた場合
- 契約書に「契約不適合責任を負わない」との特約がある場合
- 買主が内見時に雨漏りの兆候を確認して了承して購入した場合
- 経年劣化による自然な損傷と判断される場合(築年数相応の劣化)
- 買主が雨漏りを知りながら1年以上放置した場合
このようなケースでは売主の責任を問うのが難しくなるため、契約時の確認が重要です。
雨漏りのトラブルが発生した場合、まず何をすべきかを理解しておくことが大切です。
契約不適合責任を適用するためには、契約内容の確認や売主との交渉、証拠の収集など、適切な対応を取る必要があります。
特に契約書に記載された条項の確認や雨漏りの証拠をしっかり残すことは、責任を追及する上で重要なポイントになります。
この章では、契約不適合責任を追求する際に買主が押さえておくべきポイントについて具体的に解説します。
契約不適合責任を追及する際には、まず売買契約書の内容をしっかりと確認することが重要です。
特に契約書に「契約不適合責任を負わない」との特約が記載されていないかどうかを確かめる必要があります。
また、「現状有姿」と記載されている場合、物件はそのままの状態で引き渡されるため、売主に責任を問うことが難しくなる可能性があります。
さらに物件の説明書に雨漏りがないと明記されていたかどうかや、売主が雨漏りの可能性について何らかの説明をしていたかも確認すべきポイントです。
契約内容によっては、売主に責任を求めることができなくなる場合もあるため、不明点があれば専門家に相談することが大切です。
契約不適合責任を適用するためには、雨漏りの証拠をしっかりと集めることが必要です。
まず、天井や壁にできたシミ、水漏れの跡などを写真や動画で記録し、日付がわかるようにしておくとよいでしょう。
特に雨天時の状況を記録することで、雨漏りの深刻さを証明しやすくなります。
また、修繕業者に見積書を作成してもらえば、修繕にかかる具体的な費用を証明することが可能です。
こうした証拠をそろえることで、売主との交渉や裁判での立証がスムーズになります。
この記事のまとめ!
- 中古物件の雨漏りは契約不適合責任の対象になる可能性がある
- 適用には一定の条件が必要
- 買主は修繕請求、代金減額、契約解除、損害賠償請求が可能
- 権利行使のためには、契約内容の確認と証拠の収集が重要
- 発見後すぐに売主へ通知し、期限内に適切な対応をとることが大切
雨漏りトラブルを回避するためにも、契約時のチェックやインスペクションを活用し、リスクを未然に防ぐことが重要です。