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日本の美しい原風景の一つとして知られる白川郷の合掌造り。
その特徴的な茅葺き屋根は、何百年もの間、厳しい自然環境の中で村の人々を守り続けてきました。
しかし、茅葺き屋根は定期的な葺き替えが必要であり、この作業を怠ると雨漏りや劣化が進み、やがて建物全体の寿命を縮めてしまいます。
かつては村人総出で行われていた葺き替えも現在では専門の職人が中心となり、地域住民やボランティアの協力のもと、計画的に実施されています。
屋根の葺き替えは約20〜30年に一度の大掛かりな作業であり、その費用や工程、職人技などはあまり知られていません。
この記事では、白川郷の茅葺き屋根の葺き替えの全工程を詳しく解説するとともに、葺き替えにかかる費用や助成金、見学・体験できるスポットについてもご紹介します。
世界遺産・白川郷の文化を支える大切な技術と伝統を、ぜひこの機会に知ってみましょう。

株式会社ライフ総建 取締役
佐藤 勇太
さとう ゆうた
塗装工事や屋根修理、防水工事をメインに東京都八王子市で外装リフォーム専門店を経営。地域に根付く専門店として3000棟以上の施工実績あり。
白川郷の風景を象徴する合掌造りの家屋。
その美しくも機能的な建築様式は、雪深い地域特有の知恵が詰まったものです。
なかでも特徴的な急勾配の茅葺き屋根は、重い雪を効率よく落とし、冬の厳しい環境にも耐えられる工夫が施されています。
また、天然素材で作られた茅葺き屋根は、断熱性・通気性に優れ、快適な住環境を生み出します。
この章では、そんな白川郷の合掌造りの建築の特徴と、茅葺き屋根の魅力や機能性について詳しく解説します。
白川郷の合掌造りは、岐阜県の白川村に広がる伝統的な建築様式であり、1995年にユネスコの世界遺産に登録されました。
「合掌造り」という名称は、屋根の形状が手を合わせる「合掌」の姿に似ていることに由来します。
この合掌造りの大きな特徴というのは、急勾配の茅葺き屋根です。
白川郷は積雪が多く、厳しい冬を乗り越えるために屋根を急傾斜にし、雪が自然に滑り落ちるように設計されています。
また、木組みの工法には釘を使わず、梁や柱を組み合わせる「木組み構造」が採用されています。
これにより、頑丈な構造を維持しながら柔軟性も確保しつつ、地震にも強い建物になっています。
合掌造りのもう一つの特徴は、屋根が茅(かや)で作られていることです。
茅はイネ科の植物で、古くから日本の伝統的な屋根材として使用されてきました。
茅葺き屋根には以下のような特徴があります。
- 断熱性が高い(夏は涼しく、冬は暖かい室内環境を保つことができる。)
- 通気性が良い(屋根全体が呼吸するような構造になっており、湿気がこもりにくい。)
- 防音性に優れる(雨音を和らげ、静かな室内環境を作る。)
しかし、茅葺き屋根は経年劣化が避けられず、約20〜30年ごとに屋根の葺き替えが必要になります。
この工程は、職人の技術と多くの人々の協力によって支えられています。
白川郷の合掌造りは、何百年にもわたって受け継がれてきた伝統的な建築様式です。
しかし、この歴史を守るためには、定期的な屋根の葺き替えが欠かせません。
かつては村人が協力し合って行っていたこの作業も、時代とともに変化し現在では専門の職人やボランティアの手によって維持されています。
また、白川郷の茅葺き屋根は約20〜30年に一度の葺き替えが必要とされており、村全体で計画的に管理されています。
この章では、茅葺き屋根の葺き替えが必要な理由や、その歴史の変遷、現在の維持方法について詳しく紹介します。
茅葺き屋根は、長年にわたり風雨や雪にさらされることで徐々に劣化します。
特に雪が多い白川郷では積雪による圧力が屋根にかかるため、一定の期間ごとに茅を新しくする必要があります。
また、茅の劣化によって雨漏りが発生したり、屋根の通気性が悪化すると、建物全体の耐久性に影響を与える可能性があります。
そのため、定期的な葺き替えは合掌造りを維持するために欠かせない作業となっています。
昔の白川郷では、村人総出で屋根の葺き替えを行う「結(ゆい)」の制度がありました。
これは村の人々が互いに助け合いながら作業を進める共同作業の仕組みで、材料の準備から葺き替えまでをみんなで協力して行っていました。
しかし、現在では茅葺きの職人の減少や、高齢化に伴い、専門の職人チームが中心となって葺き替えを行うようになっています。
また、ボランティアを募集して茅葺き体験を提供するなど、伝統技術を後世に伝える活動も行われています。
茅葺き屋根の耐用年数はおおよそ20〜30年ですが、白川郷では毎年数軒ずつ計画的に葺き替えが行われています。
村全体での屋根の維持管理が必要なため、1年に数軒ずつ葺き替えを実施し、白川郷の景観を守る仕組みが整っています。
屋根の表面にある劣化した茅を取り除く。
屋根の木組みに傷みがないかチェックし、必要なら修復。
乾燥させた茅を適切な長さにカットし束ねる。
茅を屋根に敷き詰めながら固定していく。
屋根の形を整え、防水性を高めるための調整を行う。
茅葺き屋根の維持には、手間と費用がかかります。
特に葺き替えの際には大量の茅を調達し職人の手で丁寧に施工するため、1,000万円〜2,000万円もの費用がかかることもあります。
しかし、世界遺産である白川郷では文化財としての価値を守るため、国や自治体による助成金・補助制度も整っています。
茅葺き屋根の葺き替え費用の内訳や、補助制度の詳細を知ることで、白川郷の合掌造りがどのように維持されているのかを理解できるでしょう。
この章では、葺き替えのコストとその内訳、補助金制度の活用方法について詳しく解説します。
白川郷の茅葺き屋根の葺き替えには、1,000万円〜2,000万円の費用がかかるとされています。
この金額は屋根の大きさや使用する茅の量、職人の技術料によって変動します。
伝統技術を継承する職人の人件費が高額になりやすく、さらに足場設置や運搬費などの付帯費用も含まれます。
茅葺き屋根は定期的なメンテナンスが必要なため、所有者にとっては大きな負担となりますが、補助制度を活用することで負担軽減が可能です。
葺き替え費用の内訳は、大きく材料費・人件費・施工費に分かれます。
材料費としては、茅(かや)の調達・加工費があり、屋根1棟に使用する茅の量は3,000束以上に及びます。
人件費の中でも熟練の職人の技術料が大きな割合を占め、屋根全体の施工には約10〜20人の職人が関わります。
また、足場の設置費用や撤去した古い茅の処理費用などの付帯コストも含まれることで、総額を押し上げる要因となっています。
白川郷の合掌造りは世界遺産に登録されており、その文化的価値を守るために国や自治体の助成金制度が設けられています。
例えば、文化庁や白川村が提供する補助金では、葺き替え費用の一部が支給され、自己負担を軽減することが可能です。
また、文化財として登録されている建物には、さらに手厚い支援が受けられる場合もあります。
補助金の申請には条件があるため、事前に自治体や専門団体に相談することが重要です。
白川郷の茅葺き屋根の葺き替えは、実際に見学することができて観光の一環としても人気があります。
毎年春から秋にかけて行われる葺き替え作業では、職人たちが手際よく茅を敷き詰める様子を間近で見学できるほか、観光客向けの体験イベントも開催されています。
また、合掌造りの宿泊施設に泊まりながら、伝統建築の魅力を肌で感じることも可能です。
この章では、屋根の葺き替えを見学できる時期や場所、宿泊施設、体験イベントの詳細についてご紹介します。
白川郷の茅葺き屋根の葺き替えは、春から秋(4月〜11月)にかけて行われます。
冬は積雪が多いため、作業が困難となり、この時期を避けて実施されます。
特に5月〜10月は天候が安定し、葺き替え作業が最も盛んに行われる時期です。
また、屋根の耐久性や施工のスケジュールによって毎年数軒ずつ計画的に進められるため、訪問時期を調整すれば、実際の作業を間近で見学できるチャンスがあります。
葺き替えの様子を見学したい場合、合掌造り民家園や白川郷の集落内が最適です。
合掌造り民家園では、復元された合掌造りの建物を展示しており、屋根の構造や維持管理の様子を学べます。
また、実際に合掌造りに宿泊できる施設もあり、「幸エ門」 などでは茅葺き屋根の魅力を体験できます。
夜には囲炉裏を囲みながら、白川郷の伝統文化に触れることができます。
白川郷では、茅葺き屋根の文化を学びながら体験できるイベントが開催されています。
また、「葺き替え作業のボランティア」として参加できるイベントもあり、茅の運搬や設置補助を通じて伝統技術を学ぶことができます。
これらのイベントは春〜秋にかけて実施され、事前申し込みが必要な場合が多いので、訪問前に公式サイトで確認するのがおすすめです。
この記事のまとめ!
- 白川郷の合掌造りは、雪国の環境に適した茅葺き屋根が特徴
- 茅葺き屋根は約20〜30年ごとに葺き替えが必要で、職人やボランティアが協力
- 葺き替え費用は1,000万〜2,000万円で、助成金・補助制度の活用が可能
- 白川郷の文化を守るため、訪問や体験を通じた理解と継承が大切
白川郷の合掌造りは、日本の貴重な文化遺産であり、その維持には屋根の葺き替えが不可欠です。
茅葺き屋根の魅力や葺き替えの工程を知ることで、伝統技術の素晴らしさを再認識できるでしょう。
見学や体験イベントに参加することで、この伝統文化を未来へと繋げる一助となることができます。