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賃貸物件で雨漏りが発生すると、生活に大きな支障をきたします。
しかし、大家や管理会社に連絡しても対応してくれないケースもあるため、このような場合はどのように対処すればよいのでしょうか?
本記事では、賃貸物件の雨漏りの責任が誰にあるのか?具体的な対応策や法的な請求方法などを詳しく解説します。

株式会社ライフ総建 取締役
佐藤 勇太
さとう ゆうた
塗装工事や屋根修理、防水工事をメインに東京都八王子市で外装リフォーム専門店を経営。地域に根付く専門店として3000棟以上の施工実績あり。
賃貸物件で雨漏りが発生した場合、「修理するのは大家の責任なのか?それとも借主が対応しなければならないのか?」と悩む人は多いでしょう。
結論から言えば、通常の雨漏りであれば大家に修繕義務がありますが、場合によっては借主が費用を負担することになるケースもあります。
本章では、民法の規定をもとに賃貸物件の雨漏りの責任の所在について詳しく解説します。
民法第606条には、「賃貸人(大家)は賃貸物件を使用・収益に適するように修繕する義務がある」と定められています。
第六百六条(賃貸人による修繕等)
e-Gov法令検索
1.賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
2.賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。
つまり、通常の雨漏りであれば、大家が修理費用を負担し迅速に対応する必要があります。
例えば、雨漏りの原因として考えられるものは以下のとおりです。
- 屋根や外壁の経年劣化
- ベランダの防水施工不良
- 窓やサッシのシーリング劣化
- 上階の水漏れ
これらの原因はすべて建物の維持管理に関する問題であり、借主が責任を負うものではありません。
基本的に建物の維持管理における問題は大家に責任がありますが、以下のケースでは、雨漏りの修理費用が借主負担となることがあります。
- 借主の過失による損傷
- 契約書に特約がある場合
例えば、借主がDIYで屋根や外壁を傷つけた場合や、室内の水回り(エアコンや洗濯機など)から水漏れを発生させた場合は借主側の責任となる場合があります。
また、契約書の特約事項に「軽微な修繕は借主負担」と明記されていることがある場合も慎重な判断が必要です。
ただし、借主に過失がない限り、基本的に大家が責任を負うことを覚えておきましょう。
大家や管理会社に雨漏りの修理を依頼したにもかかわらず、「対応が遅い」「連絡しても無視される」といったトラブルに遭遇することがあります。
雨漏りは放置すると建物の劣化や健康被害につながるため、早急な対応が必要です。
本章では、大家や管理会社が修理に応じない場合の具体的な対策について順を追って解説します。
雨漏りが発生したら、まずは大家や管理会社に速やかに連絡しましょう。
電話だけでなく、メールやLINEなど、後で証拠として残る形で伝えるのが重要です。
また、雨漏りの状況を写真や動画で記録し、具体的な被害を説明しましょう。
管理会社が間に入っている場合は、大家に情報が伝わっていない可能性もあるため、再度確認を依頼することも有効です。
最初は冷静かつ丁寧に対応を求めることで、スムーズに修理が進むことがあります。
大家や管理会社が対応してくれない場合、内容証明郵便を送って正式に修理を求めるのが効果的です。
内容証明郵便は、いつ・誰が・どんな内容を送ったのかを記録できるため、後の法的措置を取る際の証拠になります。
文面には、物件の住所、雨漏りの発生状況、修理を求める理由、対応期限(例:1週間以内)を明記しましょう。
内容証明を送ることで大家側も責任を認識し、対応が早まる可能性があります。
民法611条に基づき、雨漏りによって物件が本来の住環境を満たさない場合、家賃の減額を請求できることがあります。
例えば、寝室が使えない、カビが発生して健康被害があるなどの状況では、家賃の一部を減額してもらう権利があります。
家賃減額を請求する際は、まずは大家や管理会社に連絡し法的根拠を示しながら交渉しましょう。
話し合いが難航する場合は、弁護士や公的機関に相談するのも有効な手段です。
大家や管理会社が修理を拒否する場合、公的機関に相談することで問題が解決することがあります。
例えば、国民生活センター(188)では、賃貸トラブルについて無料でアドバイスが受けられます。
また、自治体の住宅相談窓口では専門家に直接相談できることがあります。
さらに法テラスを利用すれば、弁護士による無料相談を受けられるので、法的手続きを進める際のサポートを受けることもできます。
雨漏りが続くと、「いっそ自分で修理してしまおう」と考える人もいるかもしれません。
しかし、賃貸物件では勝手に修理をすると、後から修理費用の請求ができなくなったり、契約違反になったりする可能性があります。
本章では、自分で修理することのメリット・デメリット、修理を行う前に大家と合意を取る方法、応急処置のやり方について解説します。
賃貸物件の雨漏りを自分で修理すると、後から修理費用を大家に請求することが難しくなるため注意が必要です。
賃貸契約では、建物の修繕義務は基本的に大家にあるため、勝手に修理すると「借主が承諾した」とみなされる可能性があります。
また、無許可での修理が原因でトラブルが悪化した場合、かえって借主側に責任が生じるケースもあります。
費用を自己負担したくない場合は、まず大家に修理依頼をし対応を求めることが重要です。
どうしても早急な修理が必要な場合は、事前に大家や管理会社の同意を得ることが大切です。
修理の必要性を説明し、修理費用を大家負担にする旨の承諾を文書やメールで記録しておくと後のトラブルを防げます。
また、修理業者の見積もりを取って、費用と作業内容を提示するとスムーズに合意を得られやすくなります。
「修理後に費用請求する」よりも「事前に承諾を得る」方が確実に費用を回収できるため、慎重に対応しましょう。
修理まで時間がかかる場合、応急処置をして被害を最小限に抑えることが重要です。
例えば、雨漏りの発生箇所にバケツを置く、ブルーシートや防水テープで水の侵入を防ぐといった対策が有効です。
また、天井や壁に水が染み込まないようビニールシートを敷いたり、家具を移動して二次被害を防ぐことも大切です。
応急処置の様子を写真や動画で記録しておけば、後の修理交渉や家賃減額請求の際の証拠として活用できます。
何度連絡しても大家や管理会社が対応してくれない場合、最終的にどのような手段が取れるのでしょうか?
自費で修理して家賃と相殺する方法や、契約を解除して引っ越す選択肢など、法的に認められる対策を知っておくことが重要です。
本章では、賃貸物件の雨漏りが改善されない場合に取るべき最終手段について具体的に説明します。
大家が修理を拒否し続ける場合、借主が自費で修理を行いその費用を家賃から差し引く「賃料相当額償還請求」を行うことが可能です。
ただし、事前に大家へ修理の必要性を通知し、一定期間待つ必要があります。
無断で修理費を相殺すると、家賃の未払いを主張されるリスクがあるため、修理前に必ず内容証明郵便などで通知することが重要です。
また、修理後は領収書や修理前後の写真を保管し、正当な請求であることを証明できるようにしておきましょう。
雨漏りが長期間放置され住環境が著しく悪化している場合、契約解除(退去)を検討することも選択肢の一つです。
民法第415条では、貸主が義務を果たさない場合、借主は契約を解除できると規定されています。
特に雨漏りによる健康被害や家財の損傷が発生している場合は、契約解除の正当な理由となる可能性が高いです。
また、場合によっては引っ越し費用や損害賠償を大家に請求できるケースもあるため、専門家に相談しながら慎重に進めましょう。
この記事のまとめ!
- 賃貸の雨漏りは基本的に大家が修理する義務がある
- まずは丁寧に連絡し、記録を残しながら交渉を進める
- 対応してもらえない場合は、内容証明郵便や公的機関を利用する
- 最終的には法的手段や退去も検討することが重要
雨漏りの問題は放置すると健康被害にもつながるため、早めに行動を起こしましょう。