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「雨漏り」と聞くと、多くの人が屋根からの水漏れを想像しますが、実は壁を伝って発生する雨漏りも少なくありません。
外壁や窓枠、ベランダ周りなど建物のさまざまな部分から浸水し、室内の壁を伝って雨漏りが発生するケースがあります。
壁伝いの雨漏りは気付きにくく、長期間放置すると建物の内部構造に深刻なダメージを与えます。
特に柱や梁が腐食したり、カビやシロアリの発生につながる可能性があるため早めの対策が必要です。
本記事では、壁伝いの雨漏りの原因・放置した際のリスク・修理方法について詳しく解説します。

株式会社ライフ総建 取締役
佐藤 勇太
さとう ゆうた
塗装工事や屋根修理、防水工事をメインに東京都八王子市で外装リフォーム専門店を経営。地域に根付く専門店として3000棟以上の施工実績あり。
雨漏りは屋根から発生するものと思われがちですが、実際には壁を伝って水が浸入するケースも少なくありません。
特に外壁の劣化やベランダの防水不良、窓枠(サッシ)の隙間など、建物のさまざまな部分が雨水の侵入口となる可能性があります。
こうした壁伝いの雨漏りは発見が遅れがちで、放置すると建物の内部に深刻なダメージを与えることもあります。
ここでは、壁伝いに雨漏りが発生する主な原因について詳しく解説します。
外壁は紫外線や風雨の影響を受け、経年劣化によってひび割れが発生します。
特にモルタルやコンクリートの外壁は乾燥と湿気の繰り返しによって収縮し、細かい亀裂が生じることがあります。
また、外壁のつなぎ目を埋めるコーキング(シーリング)の劣化も雨漏りの原因となります。
ひび割れや隙間ができるとそこから雨水が浸入し、内部の断熱材や構造体を濡らしてしまう可能性があります。
小さなひびでも放置せず、早めに補修することが大切です。
ベランダやバルコニーは外壁に隣接しているため、雨水が浸入しやすい場所です。
特に防水層の劣化やひび割れ、排水口の詰まりがあると水が溜まり外壁へと浸透するリスクが高まります。
ベランダやバルコニーの防水層を定期的に点検し、適切な補修や塗り直しを行うことで、壁伝いの雨漏りを防ぐことができます。
窓枠(サッシ)は雨水が侵入しやすい部分で、特にシーリング(コーキング)の劣化によって隙間ができると、水が入り込みやすくなります。
また、施工不良や経年劣化によって、サッシと外壁の間にわずかな隙間が生じると、雨水が壁内に侵入し壁を伝う雨漏りの原因となります。
強風を伴う大雨では特に水が入りやすいため、サッシ周りの点検とシーリングの打ち替えを定期的に行うことが重要です。
屋根の防水層が劣化すると、そこから侵入した雨水が壁の内部を流れ室内に雨漏りとして現れることがあります。
特に屋根のルーフィング(防水シート)が劣化していたり、瓦やスレートがズレていたりすると、屋根から入った水が天井裏を伝い最終的に壁へと流れ込むことがあります。
屋根の雨漏りは発生源が見つかりにくいため、定期的な点検を行い、劣化した屋根材の修理やルーフィングの張り替えを検討することが重要です。
外壁には換気口や通気口が設けられていますが、ここからも雨水が侵入することがあります。
特に換気口のパッキンやシーリングが劣化していると、強風を伴う雨の際に水が吹き込むことがあります。
また、通気口の位置や適切に施工されていない場合、内部に水が入り込みやすくなります。
対策として、換気口の防水カバーの設置やシーリング補修を行い雨の侵入を防ぐことが必要です。
「少しの雨染みだから大丈夫」「まだ天井から水が垂れていないから問題ない」と雨漏りを放置してしまうと、建物に深刻な被害を及ぼす可能性があります。
特に壁の内部に水が染み込むことで柱や梁が腐食したり、カビやシロアリが発生したりする危険があります。
また、内装材の劣化による修理費用が高額になることもあるため早めの対処が必要です。
ここでは、壁伝いの雨漏りを放置するとどのようなリスクがあるのか具体的に解説します。
壁伝いの雨漏りが続くと、壁の内部にある柱や梁、壁の下地まで水が浸透し、木造住宅では木材が腐食するリスクが高まります。
腐食が進むと建物の耐久性が低下し、地震や強風などの衝撃に対して構造的な強度が弱まる可能性があります。
鉄骨造の建物でも、内部に水が染み込むことで鉄部のサビや腐食が進行し、最悪の場合、耐荷重性能に影響を及ぼすこともあります。
雨漏りを発見したら、早急な補修が必要です。
雨漏りによって壁の内部が常に湿った状態になると、カビやシロアリの発生リスクが大幅に高まります。
カビはアレルギーや呼吸器系の疾患を引き起こすことがあり、特に小さな子どもや高齢者にとって健康被害の原因となる可能性があります。
また、木材が湿気を帯びるとシロアリの格好のエサ場となり、柱や梁が食害を受け建物の耐久性が大きく低下します。
これらの被害を防ぐためには、早めの点検と適切な防水対策が重要です。
壁伝いの雨漏りが続くと室内の壁紙(クロス)が剥がれたり、変色したりすることがあります。
さらに石膏ボードや木製の内装材が水を吸収すると膨張や歪みが発生し、最終的には交換が必要になることもあります。
放置するとカビの発生や悪臭にもつながり、補修範囲が広がるため修理費用が高額になる可能性があります。
小さな雨染みの段階で対策を講じれば部分的な補修で済むこともあるため、早めの点検・対応を心掛けましょう。
壁伝いの雨漏りを発見したら、できるだけ早急に適切な修理を行うことが重要です。
雨漏りの原因によって補修方法は異なり、軽微なひび割れならシーリング材で補修できますが、大きなダメージがある場合は専門業者による本格的な防水工事や屋根・外壁の補修が必要になることもあります。
ここでは、原因別の具体的な修理方法について解説しますので、ご自身の状況に合った対策を見つけてください。
外壁のひび割れは、雨水が浸入する大きな原因となるため、早めの補修が重要です。
小さなひび割れならシーリング材や防水塗料を用いたDIY補修が可能ですが、大きなひび割れや構造に影響する損傷がある場合は、専門業者による補修が必要です。
また、補修後は外壁塗装の塗り直しを行うことで、防水性能を回復させることができます。
ひび割れを放置すると壁内部の腐食やカビの発生につながるため、定期的な点検と早急な補修を心がけましょう。
ベランダやバルコニーの防水層が劣化すると、雨水が溜まり外壁や建物内部に浸透しやすくなります。
防水工事にはウレタン防水、FRP防水、シート防水などの方法があり、それぞれ耐久性やコストが異なります。
ひび割れや防水層の剥がれが見られる場合は、防水工事のやり直しを検討しましょう。
また、排水口の詰まりも雨漏りの原因になるため、定期的な清掃も大切です。
ベランダの防水対策を適切に行うことで、壁伝いの雨漏りを予防できます。
窓枠(サッシ)や通気口は、シーリング(コーキング)の劣化によって隙間が生じ雨水が侵入しやすい部分です。
シーリング材が硬化しひび割れた場合は、古いシーリングを除去し、新しいシーリング材を打ち直す必要があります。
また、サッシの施工不良による隙間が原因の場合は、防水処理や適切な補修を行うことで雨漏りを防げます。
強風時に水が吹き込むこともあるため、防水カバーの設置やシール補強などの対策も有効です。
屋根から浸入した雨水が壁を伝って雨漏りする場合、屋根の防水性能を回復させることが必要です。
屋根の劣化が進んでいる場合は、屋根材の全面交換(葺き替え)や、既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねるカバー工法を検討しましょう。
特にルーフィング(防水シート)の劣化が進んでいる場合は、早めの補修が重要です。
屋根の点検を定期的に行い劣化が軽微なうちに補修することで、大掛かりな修理を防ぐことができます。
この記事のまとめ!
- 外壁のひび割れやベランダ・サッシ周りの劣化などが主な原因
- 放置すると深刻な被害につながる
- 外壁のひび割れはシーリング補修、ベランダの防水工事などで対策可能
- サッシや通気口周りの防水処理を適切に行うこと。
- 屋根の劣化が原因の場合は葺き替えやカバー工法で対処する
壁伝いの雨漏りは気付きにくく、放置すると深刻な被害につながります。
定期的な点検を行い、外壁のひび割れやシーリングの劣化を早めに補修することで、雨漏りを未然に防ぐことができます。
雨漏りが発生した場合は迅速に原因を特定し、適切な修理を行うことが大切です。
小さな異変でも、早めの対策を心がけましょう!